介護・療養マニュアル

パーキンソン病やその他の関連疾患の代表的な症状として運動障害及び姿勢反射障害があります。
進行に伴い運動障害も重症化していく傾向が認められます。
ここではそのような運動障害の進行をできる限り防ぎたいと思いながらも、つい誤った選択をしてしまう事を解説を踏まえて説明していきたいと思います。

ベッド・寝具

多くのパーキンソン病の方から相談を受けるのが「ベッドや寝具」に関する事です。
また、介護保険を利用されてる方などはケアマネージャーに薦められて介護ベッドを導入されてる方なども多いでしょう。
そこで、病気以前に生命の営みに欠かすことのできない睡眠に必要な寝具についてです。

介護用ベッド

パーキンソン病などで早期に介護ベッドを導入されるのはお薦めできません。介護ベッドが必要になるときは「寝起きの動作や立ち上がり動作を介護に依存せざるを得ないとき」です。またはほぼ寝たきり状態になってしまったときと捉えておきましょう。

ベッド(既存のベッド)

もともとベッドでの生活をされていた方はそのままのベッドをご利用されても構いません。できれば硬めのマットレス。なるべく大きめで、高さは低めが理想的です。できる限り慣れ親しんだベッドが良いでしょうから無理に購入する必要はありません。

布団

自立した日常生活を長く維持したいのであればお薦めです。間違いありません。ただし、転倒リスクをしっかりカバーできたうえでの話です。闇雲に布団を使い続けていては返って危険や介護苦を招くことになり兼ねません。

まとめ

寝具について簡単に説明させて頂きましたが、介護ベッドや布団など一長一短と言える部分もありますので詳しくは直接ご相談ください。
何よりもご本人の身体状況を加味しなければなりませんので。

手すり

転倒を防止するのに先ず思いつくのが手すりです。
住宅改修などで手すりを検討している方、また既に取り付けている方がいらっしゃると思います。
ここではその手すりの「取付ける場所」ついて説明します。

玄関

外出の頻度にもよりますが、転倒しやすい場所として手すりは設置しておきたいですね。設置位置としては一般的な靴の着脱位置に縦型がいいでしょう。

洗面所・脱衣所

意外と思われる方も多いと思いますが、転倒の多い場所としては筆頭にしてもいいでしょう。ここでの転倒はパーキンソン病の方特有です。「どのような動作で転倒につながるか」自ずと設置位置が浮かんでくるはずです。

浴室

言わずと知れた危険なスペース。当然床面や浴槽の底が滑り易いのは想像できます。ここは病気の有無に問わず滑り止め対策や洗い場での支持物確保が必要です。
あと忘れてはいけないのが浴槽の縁への設置です。浴槽の縁の手すりは高さによって「無用の長物」と化してしまうので安易な設置は避けてください。

台所

台所は意外にも転倒しやすい場所として知られていないかもしれません。圧倒的に女性が多いのは言うまでもありませんし場所が場所だけに外傷を受ける可能性も高いです。にも関わらず掴まる場所が少ないですし手すりの設置も簡単ではありません。

まとめ

ごく当たり前のようですが、事前に転倒を防げるなら手すりの設置は容易いです。そのぶん安易に捉えて役に立たない場所に設置してしまうケースも多いです。住宅改修業者さんなどは改修のプロではあっても、利用される人の身体に関しては十分に把握できません。
必要に迫られて設置するのであればリハビリのプロ理学療法士の意見を参考にしてはいかがでしょうか。

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