パーキンソン病と医療制度

時代の移り変わりとともにパーキンソン病をはじめとする難病患者を取り巻く環境も変わってきています。その中でも「介護保険法」は最も環境を変化させたに違いありません。
介護保険という制度はパーキンソン病患者さんにとってあまりにも不合理な制度と言えます。
実際は障害者全体の問題にも波及することになるわけですが、実質黙殺された形で今に至ってます。
かつて難病患者・障害者に対する介護費用はほぼ全て国がまかなっていた事実を知る人は少ないでしょう。
公開記録ではまるで平成26年から初めて難病法を設立とありますが、その法案から自己負担を強いることになったに過ぎません。
現在、介護保険では当たり前のように自己負担をし、始めは一律1割だったのが今や1~3割負担にまでになっています。
このままに留まるわけもなく、いずれ負担割合の増額、介護サービスの衰退に伴う自費サービスの増加と介護はもちろん医療の未来は真っ暗なのです。
国民が平等な医療・介護を受ける事ができるのは幻想になりつつあります。現に自費診療のみの医療機関、自費サービスのみの介護サービス事業者は年々増加しています。
よく老後のため2000万円貯める必要があると耳にしますが、人手か無いのですから自費計算でその3倍以上は必要になるでしょう。いや、そもそもはじめから介護が必要になることは想定していない額でしょうね。

万が一に備えるとは

訪問先で大学病院に通っている方、または検討している方が口を揃えて言うのが
「万が一のとき」そんなキーワードを必ず耳にします。
○病状が悪化したら
○病気が進行したら
○家族が寝込んだら
○転倒によって大ケガをしたら

様々な場面を想定して
大きな医療機関なら大丈夫だろう
と考えていると思います。

実際はそう簡単には入院できません。
大ケガという場合なら辛うじて可能ですが、他のケースでは先ず無理です。
ベッドの空き状況やその時の勤務医などにもよりますが、緊急性の高い患者さんから受け入れるので病状の悪化や進行では難しいと言えます。
パーキンソン病などで救急搬送のケースは、

○誤嚥による気道閉塞
○悪性症候群(重度)
○転倒による外傷、骨折

が多く見受けられます。
以上のようなケースでしたら大概の救急指定病院でしたら受け入れてくれると思われます。
パーキンソン病ではなく「新たな診断名」がつくからと解釈して下さい。

このように大きな病院に通っているメリットはさほど大きくはありません。今一度、通っている医療機関を見直してみてはいかがでしょうか。

地域別 医療機関・介護サービス格差

都心部は医療も介護も充実している。
なんてことは幻想です。
日本の医療法上、日本全国どこで治療を受けても診療報酬は「同じ」です。医療機関の規模などで差は設けてはいても、地域によっての差は全くありません。
国民にとって非常に有り難い制度ではありますが、医療従事者にとってはどうでしょう。
例えば

平均地価112万円/㎡の東京都と
平均地価2万5千円/㎡の秋田県

同じ広さのクリニックを開業したとして
報酬は全く同じなんです。
極端な比較になりましたが、要するに都心で医療機関は採算が合わない可能性が高いということです。
と言うと
「都心にはおびただしい数の歯科やクリニックがあるじゃないか」
という声が聞こえてきますが、歯科ですと自費診療を主軸に診療しているところが多いからです。クリニックも美容皮膚科や美容外科など、やはり自費診療なんです。近年では美容に限らず自費診療しかしないクリニックが増加しているのも事実です。
もちろん保険診療もしますが良い顔をされないところが多いですね。心当たりがある方もいますでしょう。
あくまでも都心部の話ですから居住地域ではなんとかほそぼそと営んでいる医療機関はあります。
都心部で再開発をしているような人口急増地域にはそれなりの数が開業していますが、小児科、耳鼻科などが目立ちます。
採算を意識するのであれば郊外での開業が賢明ということでしょう。
銀座などで保険診療のクリニックが数少ないのはおわかりでしょう。当然、病棟を抱える病院なんて論外です。病院の施設基準を満たす病院は無いに等しいです。
近年よく見かける「リハビリテーション病院」
これは病院といっても「回復期」専門の病院です。
回復期病院では脳血管疾患、神経疾患、整形外科疾患及び術後から最長180日まで入院の許された病院です。
それ故、慢性期疾患や発症・術後から60日以上経過した患者さんはほぼ対象外です。
患者さんの機能回復を目的とした施設ですが、その反面病院への救済措置的意味合いも兼ねています。
「入院から1ヶ月ほどで退院して下さい」と言われた方はこちらに入院する仕組みです。

余談ですが近年、コロナ蔓延の影響によりPCR検査や抗原検査をするクリニックが急増していますが、国が全額負担、おまけに高額報酬なので診療報酬引き下げに伴い減少します。需要があるとはいえ医師としてのプライドを疑います。

介護サービスに関しては如実に格差があります。
わかりやすいところで、介護施設数及び定員数の人口比率が軒並み都道府県別ワースト10位入りしているのは「東京」なんです。
東京以外では特別養護老人ホームの空き室が問題になっているところもあり、入所基準緩和を検討しているそうです。
他にも病院数、病床数もワースト10位内。
独居老人数ナンバーワンも「東京」
未婚率も男女ともにナンバーワンが「東京」
驚くことに医師の人数は一番多いという冗談のような有様。(人口比率では3位)
コロナ蔓延で「医師が足りない」なんてキーワードも耳にしましたが、そんなわけありません。
現にコロナ需要クリニックをじゃんじゃん開業したり、アプリでピル処方なんてCMが公然とテレビで流れているわけです。

もはや「東京」に住むメリットが思い浮かばないのは当然です。
老後に備えて都心に引越すなんて戯言をきいたら一刀両断して下さい。
「何を根拠に?」と。

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